「DDD」1巻感想。
今日は講談社BOXから出版された、奈須きのこ先生による小説「DDD」1巻の感想という事で。
ちなみに「吸血鬼ハンターD」とか「時空探偵DD」とは一切関係がないようです。
奈須きのこ先生といえば、シナリオを担当した「月姫」が同人ソフトながら驚異的な大ヒットを記録、同人ソフトに同人誌が作られるという現象まで発生。
続いて商業ソフトとして発売した「Fate」も当然のように大ヒットで、アニメ化もされました。
ついでに「月姫」の土台になった小説「空の境界」も映画化が決定しているとか。
で、そんな奈須きのこ先生が書き下す小説だから注目されないはずがないわけで。
内容はというと、精神障害から発して、肉体にまで異状が及び、超常的な能力を持つ、「悪魔憑き」という人々が発生する社会。
主人公は左腕を紛失し、脅威を感じなくなって、記憶にも障害がある青年。
そして主人公と共に戦う(というか戦わせる)仲間は、生身で「悪魔憑き」と戦う美女に、両手両足がなく、長い黒髪の少女と見紛う美少年。
彼の義手を借りて主人公は「悪魔憑き」との戦いに臨みます。
講談社BOXという事で、装丁はB6判の大きさに、厚紙のカバーに入った、見慣れない物。
ちなみにお値段は1300円(税別)。
カバーには丸いシールが貼られていて、編集長の言葉として「この人は、やっぱ天才だわ!」と書かれています。
その言葉には異論反論はありません。
主人公らの魅力的な設定はもちろん、「悪魔憑き」になった人々の狂気を生々しく、鮮烈に描いており、素晴らしいの一言です。
「月姫」や「Fate」を大ヒットさせた実力は、小説に舞台を代えても健在です。
こんなすごいの、自分には絶対に書けないなあ、と思うわけですよ。
思うわけ、ですが。
1巻に収録されたお話は3話。
2話だけが前後編で、長め。
1話はいいとして、2話と3話は共に主人公の過去に関わるお話。
普通なら1冊に1話とかのペースで入るようなエピソードが1巻の大半を占めているという状態。
あと何冊出るかは知らないけど、全体の構成としてどうなんだろう? と思うわけですが。
さらに3つのエピソード全てで、読者にはある人物と思わせておいて、最後で実は別の人物だとわかる、というトリックを使っています。
同じトリックばかり使い続けると、読後のショックは弱まるなあ、と思うのですが。
さらにもうひとつ。
掛け値なしに面白いとは思うんだけど、その面白さの由来はといえば、設定や筆力、トリックによる物ばかりかなと。
面白いのは間違いないのに、読後に残る物は何もないような気がするんですよ。
小説の面白さってこういう物なのかな?
本来小説のあるべき姿って、これでいいのかな?
という気がするのですが。
でわでわ。