「私はここにいます。」

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映画「電車男」と私。

 先日、映画版の「電車男」をTVでやっていたので見てみました。
 「電車男」といえば、オタクの、青年が某インターネット巨大掲示板で励まされたりアドバイスを受けたりしながら恋を成就させたという実話に基づいたとされるお話です。
 掲示板でのやり取りをまとめた本も大ヒットした他、マンガやTVドラマにもなり、話題になりました。
 で、今回、地上波で放送された映画版ですが、個人的にはTVドラマ版とどう違うかが気にかかるところです。
 やっぱり2時間少々の映画という事で、ドラマ版と違って周囲のサブキャラとかに力が入っていない印象でしたが、それはそれで正解かと。
 ノリのいい音楽とスピーディな展開がドラマ版の特徴でしたが、それに比べるとはるかに地味で大人しい印象を受けました。
 「電車男」を本か何かで知った人が、映像化したらどんな感じになるだろう? というイメージをそのまま素直に映像化したもが映画版という気がしました。
 唯一気になったところが、ヒロインであるエルメスのキャラクター像でしょうか。
 ドラマ版のエルメスが過去の経験から恋愛に積極的になれないという設定だったのに対し、映画版は天使か仏様か? というイメージで、「電車男とエルメスが恋愛している」というよりは「電車男がエルメスに恋愛させてもらっている」という気がしました。
 でも基本的にはそつなく、丁寧にまとめられていると思います。
 で、地味で大人しい印象の映画版とサブキャラも豊富で賑やかなドラマ版ですが、個人的に注目したいのは電車男を始めとする、オタク像の違いです。
 映画版の電車男が友達もいなくて人付き合いもほとんどなくて、自室に引きこもって趣味のネットやアニメにだけ関心を寄せるという古いイメージの暗いオタク像であるのに対し、ドラマ版は同じ趣味のオタク同士で集まって秋葉原に繰り出し、メイド喫茶に通ってアイドル声優の追っかけをして「萌え〜〜〜っっっ!!!」と叫んでいる、最近のオタク像です。
 映画のラストでは、ドラマ版電車男が酔っぱらいに絡まれるドラマ版エルメスを助けようとして、そこに映画版電車男が手助けする、というシーンが入ります。
 それを踏まえてみると、公開時期が1ヶ月しか違わない二つの電車男は、一般の人が持つオタクに対するイメージを大きく転換する役割を担い、そしてそれは成功を納めたのではないでしょうか。

 でわでわ。
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