「私はここにいます。」

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「夜空の双子座に紅いバラ」感想。

 今日は久々に小説の感想など。
 集英社スーパーダッシュ文庫「夜空の双子座に紅いバラ」の感想です。

 アマゾンのリンクを張ってみたけど、表紙が表示されないのが残念。
 20年くらい前に刊行された田中芳樹先生著「ウェディングドレスに紅いバラ」の続編を岡崎裕信先生が書いた物です。
 ちなみに「ウェディングドレスに紅いバラ」もイラストを一新してスーパーダッシュ文庫から同時刊行されています。
 同じように田中芳樹先生の作品の続編を別の小説家が書いた作品に「KLAN」がありますが、こちらは小説家3人が何の前触れもなく交代しながら、それぞれ好き勝手にオリジナルキャラを投入して、原作と別物の作品を書きつつ、気が付いたらしばらく続きが出てないなあという状態です。
 で、本題に戻りますと。
 買ってないけど新装版「ウェディングドレスに紅いバラ」の巻末を読んでみると、続編刊行を渋る田中芳樹先生に、岡崎裕信先生が「ウェディングドレスに紅いバラ」を手書きで写した物を見せて、刊行を快諾してもらったというエピソードが載っています。
 こういうプロジェクトX的なエピソード、個人的にはとても大好きなわけですが。
 やはりそれだけの事はあって、文体の端々に田中芳樹先生の雰囲気が見られる気がします。
 一方で雅香と淳司の関係とか、微妙な違いが見られたりもします。
 あとは、どこがどう、というわけではないけど、全体に何となくぎこちないような感じがあるような気がします。
 これは2巻、3巻と刊行を重ねていけば、慣れていく類のものとは思いますが。
 もしかすると、視点があれこれと変わって、何をどう見せたいのか定まらないせいもあるのかも知れないけど。
 ついでに違うところと言えば、伯父さんと淳司がそれぞれ愛車を手に入れている事です。
 彼らCRSの財政状況を考えれば、マイカーなんて夢のまた夢、というのもあるけど、伝統的に田中芳樹作品における自動車の位置づけというのは、主人公が破壊するか、敵から奪って乗り捨てるかといった、破壊されるための物というパターンが多く、継続的に所有する移動手段、という事は滅多にありません。
 例外といえば薬師寺涼子くらいですが、彼女にしても車に乗っているシーンは数えるほどです。
 という事は伯父さんのロードスターと淳司の中古のカローラも、その未来は風前の灯火?
 っていうか、伯父さんの愛車がロードスターというのはどうでしょう?
 中高年に人気の、と書いてあるけど、個人的に町中で見かけるロードスターは若者が乗っている事がほとんどという気がします。
 さらに言えばクライマックスで最後の戦いの場に駆けつけるシーンで、ロードスターから真理と倫理の二人が降りるという描写があるのですが……。
 ……ロードスターって2シーターなんですよねえ。
 運転席には当然、伯父さんが乗っているはずですから、定員オーバーという事に……?
 ただ単に岡崎裕信先生の間違いと、笑ってすませるのが普通ですが、ここはあえて、小林立先生の描く双子の美少女姉妹が、狭いロードスターの助手席で身を寄せ合ったり、一方がもう一方を膝の上に乗せていたりするのを想像して、悶え苦しむというのも乙かも……。
 ……人間として間違っている気がする。
 てなわけで続きも楽しみにしています。

 でわでわ。
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