心ある右手

第二章 何も言わずにさようなら 前半

「やぁ。こんにちは」
「・・・・・・」
「どうした?進也」
「誰だ?お前・・・」
「ああ。僕は君、君は僕さ」
「いや意味わからん」
「きっと君には分からないだろうね。絶対・・・・」
「この世に絶対なんてあるもんか。」
「・・・・・・」
「どうした?」
「じゃあこう言おう」
 ―――いつか・・・いつかきっとわかるよ。
 こうして俺は起き上がる。変な夢を見たのは昨日はいろいろあったせいだろう・・・・・・眠い・・・・まさかあんなに大変になるとは思っても見なかった。う〜む、走りすぎて筋肉痛だ・・・。学校など行きたくない。だが今日は水曜日。俺の記憶がただしければ今日は・・・・そう思い仕方なく学校にいく。
 学校到着!!う〜む早く着きすぎた。教室にいるのは・・・清志のみ。俺を見つけて清志の目が光った。
「進也〜〜〜」
 まちがいなく昨日のことで怒っている。しかしあんだけ追いかけといてまだ怒るか?貴様は・・・・
「どうした?」
 とぼけてみる。
「昨日はよくも〜〜〜」
 仕方がない・・・。

〜10分後〜

「あれ?進也。はやいね。」
 伊澄だ。昨日眠れんかったのは伊澄のせいでもある・・・・しかし何でこいつはこんなに元気なんだ?俺は眠くて仕方ないのに・・・・。
「元気だな。そしてそれがお前の朝のあいさつか」
 とりあえず言っとく。
「そう?じゃあ進也との朝のあいさつはこれにするね。」
 俺は違うとこを突っ込んでほしかった。昨日のせいで元気がないとか・・・。
「やめてくれ。」
 とりあえず。この朝のあいさつはいやだ。理由もある。毎日遅刻ギリギリだ。遅刻してきて「早いね」とか言われたらしゃれにならん・・・・・マジで・・・・・
「そういや今日は進也の親友いないね。」
「?誰のことだ?」
「え・・・確か名前は大島君」
「別にあいつとは親友でもなんでもない。」
 きっぱり言ってやった。不意にとある男子生徒の声が聞こえてきた。
「おい。この掃除用具箱からなんか声が聞こえるぜ。」
「なんだ?開けてみるか?」
「やめろ〜〜〜〜!!」
 俺は叫んだが遅かった。中から縛られた清志が出てくる。俺はとりあえず逃げた。
「だっ大丈夫?」
 伊澄が清志に話しかけた。縄が解かれた清志は伊澄の言葉を聴いてなかったらしく一目散に教室を出て俺を追いかけてきた。
「進也〜〜〜〜〜」
 こうして1時間目いっぱい俺は逃亡をした。
「おつかれさん」
 伊澄が戻ってきた俺らに話しかけた。
「ゲホッ・・・ハァハァ・・・・俺・・・具合悪い・・・早退する・・・」
 清志が言った。
「そうか。ばいばい」
「あれ?いつものお前なら俺も帰るって言うのに・・・・」
「バカタレ。今日は水曜だぞ。英語がないんだぞ。」
 そういうと2人が呆れた顔をした。そして伊澄がとんでもないことを言った。
「今日は授業変更で英語あるよ。」
「・・・・・腹痛が・・・・早退する。」
「まて。頭をおさえてどこへ行く」
「サボる」
「ダメダ」
「ダメ」
 同時に言われた・・・この2人息ピッタリかも
 こうして2時間目英語。もちろん今日はないと思ったから教科書等を忘れた。その報告をする。
「NONONONONO〜〜〜あなたは私の授業を馬鹿にしてますか?」
「YES.」
 めんどくさい。どうせまたお決まりのセリフが出るに決まっている。
「GO&WAY WALk」
 またかよ!!わかっていても突っ込む。こうして授業が始まった。昨日の一軒で、廊下を歩かなくてすんだ。根山Tが黒板のほうに向いている。―――今がチャンス!!こうして俺は紙を丸めて、根山Tに投げる。ほとんどの生徒が笑った。だが根山Tの反応がない。もう一回投げる。――反応がない。もう一回投げる。ことわざにこうゆうのがある。「3度目の正直」まさにその通りだ。根山Tが指の間にチョークを挟みところかまわず投げまくる。
「NONONONO〜〜〜〜Who〜〜。」
マジ切れです。俺は机の陰で笑った。そうしていると根山Tが俺に近づいてくる。
「あなたですか〜」
「まってください。どこに根拠が・・・」
クラス中の人間が俺を指差してるよ。
――地獄を見ました。

〜昼休み〜

 今日は大人数で机をくっつけて食ってる。俺の前には清志がいて横には伊澄がいる。にしても清志・・・お前食うの早いぞ。俺は言う。
「いただきます。」
伊澄も言う。
「いただき・・・・」
「ごちそうさま〜」
「いた・・いただ・・・」
うぉ。清志のやろう。いただきますと同時にご馳走様の言葉を吐きやがった。伊澄が困っている。当然といえば当然だ。
「おっと。飲み物を飲み忘れてた。いただきます延長」
 意味がわからない。延長?いろいろ突っ込む言葉が出てくるが、どうでもよくなった。
 俺は清志の飲み物のパッケージを見た。「味噌汁」そう書いてある。説明文もあった。「豆腐を細かく刻み、わかめも細かく刻んで入れた。スーパー味噌汁ここにあり。」
 ・・・・・まずそう。清志が言う。
「う〜む。冷たくてうまい。」
冷たい!!?味噌汁は基本的に冷たければまずい。伊澄は言う。
「おいしそうですね。」
「そうか?」
 俺は耳を疑った。こんなのまずいに決まっている。
「フッフッフッ。たとえ2人の頼みでも一口はあげないぜ。」
「そうですか」
 伊澄が残念そうに言った。伊澄の飲み物は「青汁」確かに今は青汁がおいしく飲めるように工夫されている。だからといって、青汁は間違っている。そもそもこの「味噌汁」と「青汁」どこに売ってるんだ?
 俺の飲み物は「ミックスオレンジジュース」どこが「ミックス」なのかがわからない。オレンジ×オレンジなのか?こうゆう疑問が出る。

〜五時間目〜

「高波はどうした?」
先生が聞く。
「俺は鳥になるって言ってどっかいきました。」

〜一方屋上〜

 いまさらだと思うが最近の屋上は危ないからと言って閉鎖されている。ならなぜ作る?と突っ込みたい。だがこの高校は違う。立ち入り禁止はあるが鍵が掛かっていない。と言うよりもハッキング方法を学校の皆がわかっている。俺は早速鍵穴にピンセットを入れて開ける・・・・と思ったら、先客がいるようだ。閉めてしまった。開ける・・・・と思ったら向こうは開けてくれたらしい。閉めてしまった。・・・・・・しばらくなにもしない。向こうも何もしてこない。よしそろそろいいかと思いハッキング開始。ガチャッガチャッガシャッ。と音が聞こえる。またかぶってしまった・・・・。3度目の正直!!俺の目が光る。今度こそは開けてやる。俺の中の何かが燃えた。ガチャッと鍵が開いた瞬間「とう。」とおもいっきし扉を開ける。
「わっ・・・」
ゴチン。
 いい音が響き渡る。俺に悪意はない。忘れていただけだ。扉の前に人が立っているのを・・・・。相手を見る。佐々木だ。・・・・うゎ完全に怒ってるよ。
「何か言葉は?」
「ごめんなさい。不注意でした。」
「悪いけど許さない・・・」
「いいよ別に」
「・・・・・・」
 うん。これ以上は流石にまずいな。
「佐々木・・・」
「・・・・なに?」
「授業始まってんぞ。」
 話題を変えてやる。
「・・・・そうやって話題を変えるんだ・・・」
 バレた・・・・
「いや、授業はちゃんと出ないとだめだぞ。」
「・・・・・」
目が言っている。「あんたに言われたくない」もしくは「あんたもでしょ」とゆう言葉のどちらかだ。
「で、あんたは屋上に何しに来たの?」
「鳥になりに来た。」
「・・・・・・」
 そして俺はフェンスのほうにいく。
「よし鳥になるぞ。」
「あの世でも元気でね。」
「おう」
 と言って。親指を立てる。
「・・・・・」
よじ登る。
「・・・・・」
 無言が続く。あともう少しで乗り越えるところで俺は言う。
「止めろよ。」
「うわっ。引っ込みがつかなくなったからって逆ギレだよ。」
「・・・・・」
「最低だね」
「うぉぉぉぉぉ。飛んでやる。飛んでやるぞ〜。」
 やけくそだ。飛んでやるぜ。
「あっそ。がんばれ〜」
「・・・・・」
「・・・・・」
「止める気はないんだな?」
「まったくもって」
 どうすんだよ。マジ引っ込みがつかねぇ。こうしてる間にチャイムが鳴る。助かった〜。
「じゃあな。俺は教室に戻るぜ。」
「えっ・・・・飛ばないの?」
 そんな言葉は無視だ。無視に限る。教室に戻る。なんと先生がまだいた。怒られる・・・・。

〜放課後〜

「よし、じゃあ愛好会にいくか。」
俺は笑顔で3人に言った。眼治は逆方向を向いている。伊澄は無視して教科書をつ鞄に詰めている。清志は教室を出る寸前だ。・・・・・よし。全員確保!!
「いて〜な。足払いして引きずることはねぇだろ。」
「だまれ。新入会員がせっかく出たのだから。全員集合するのは当たり前だ。」
「何!!?新入会員?」
「誰?誰が入ったの?」
 そういえばこの二人には言ってなかった。言おうと思った瞬間伊澄が言う。
「へ〜流石会長さん。新しく人見つけたんだ〜」
「・・・・お前だよ。そこのお前。俺から見て左の奴。」
「あっ・・・・なんだ私か〜」
 気づけよ。
「でもバイト探・・・・」
「だめだ。今日は必ず出てもらう。全員集合だ。」
 こうして無理やり愛好会が行なわれている部屋に行く。そこには里緒がいた。
「よぅ。特に出番がない奴」
「ぐはっ。・・・・人が気にしていることを・・・・」
「いつになったら役が出るんだろぅね〜」
 なんの出番かは見ればわかると思う。気にしないでほしい。
「昨日振りです。私は志雄田 伊澄っていいます。」
 いきなり自己紹介。流石という奴だ。
「私は・・・・」
 といいかけたときに俺が代わりに言ってやった。
「赤塚 里緒。特技:殴ること 好きなもの:ワラ人形 嫌いなもの:この世 気にしていること:出番が・・・」
 ドゴッ
 まさに強烈といわれるパンチだ。・・・・・死ぬ。俺は倒れた。
「大丈夫か?進也」
 清志が聞いてきた。
「大丈夫じゃない。」
「ねぇ?今の音なに?何かが砕ける音が聞こえたんだけど」
 目の見えない眼治が言った。・・・・・君の空耳と信じよう。しかも殴った張本人は俺を無視して伊澄と話している。
「・・・・じゃあ2人は幼なじみなんだ〜」
 伊澄が言った。
「そんなに珍しくないよ。小学校からここまで同じなだけ。珍しくもないよ。他に四人もいるし」
 いたい・・・・が起き上がる。寝続けるわけにもいかない。
「ところで、佐々木はどうした?」
「・・・・5時間目から行方不明で・・・・」
「ん?屋上にいたぞ。あいつ」
「そっか・・・・・・」
 急に表情が一変した里緒。・・・・なにかあるな。
「里緒。お前なんか隠しているだろ?わかりやすいぞ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「実は・・・彼女。違う親戚の家に行くんだって。」
「え・・・・」
 佐々木は幼い頃両親をなくし、親戚の家に預かられていた。その親戚が酷いのなんの。彼女はなぜあんなに耐えて、いつづけているのか正直わからなかった。そんな彼女がいきなりいなくなるというのだ。
「なっなんで・・・・いまさら・・・」
「知らない。明日でこの学校最後にするって。それで皆にも黙っていてくれって。」
「・・・・・佐々木に会ってくる。」
「えっ・・・・」
「佐々木を止める。」
「なんで?進也も知ってるでしょ?あの親戚の人たちは酷い人たちだってことを」
「それでも、何も言わずにさようなら。なんてもうごめんだ。」
「・・・・・あんた。裕太のことを言ってるの?まだ・・・引きずっているの?」
「・・・・・」
 俺は黙り込んでしまった。でも・・・・でも・・・・・あんな思いはもうしたくないから、あんな悲しい思いは・・・そう思い俺は教室を飛び出した。
「あっ進也」
 里緒の声を無視して屋上まで急ぐ。あんな思いはいやだから。――――何も言わずにさようならなんてもういやだから・・・・

後半に続く。


あとがき

 なんか、長くなりそうなんで、前半と後半に分けました。長い理由はわかっています。無駄な商談をながながとやってしまったせいです。自分が悪いのです。
 え〜と。裕太は誰なのか?佐々木はどうなるのか?夢の人物は誰なのか?気になるところです。というよりも気になってほしいです。では後半で会いましょう。さらば


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